2023年から始まった『九州大分県下のパン共同配送プロジェクト』。
パン業界では、配送コストの高騰やドライバー不足といった課題があり、その対応が急務でした。そこで佐川急便は、大分県内のパンメーカー各社さまの商品を集約する共同配送センターを設置。運び込まれた各社商品の仕分けを共通管理し、小売店への納品時間の調整など佐川急便が取りまとめ役を担うことで、共同配送が実現しました。今回は、その共同配送の実現に向けて一緒に取り組んだパンメーカーさまにお話を伺いました。
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インタビュイー
株式会社フランソア ロジスティック部 部長 常慶正芳さま(写真左)
株式会社タカキベーカリー 物流部 部長 藤川倫文さま(写真中央)
株式会社リョーユーパン 取締役兼物流システム部 部長 川本雄二郎さま(写真右)
共同配送を始める前に感じていた課題は?
パンの共同配送が初めてと聞き、若干不安でした
当社は広島など他のエリアにも工場があり、すでに共同配送を行っています。一方でこの九州エリアではまだ取り組んでおらず、その必要性を感じていました。そうしたなか、佐川さんからの提案があったものの、宅配業のイメージが強く、かつパンの共同配送の実績がないということを聞き、若干の不安を感じました。共通の言葉を理解し合うことが大変で、荷量ひとつとってみても、どう伝えればいいのか苦労しました。
課題は、環境配慮とドライバーの労働条件改善でした
トラックから排ガスを減らして環境に配慮した商品提供と、社会的にも問題となっているドライバーの労働条件の改善、この2つの課題についてどう対応していくかを検討していました。また、単に取り組むだけではなく、効率的に追求して解決していくことが重要だと考えていました。
物流の仕組みが維持できないのではと不安でした
これまで県内の配送は、すべて他社の物流会社へ委託していましたが、物流コストの高騰に加え、委託先で人手不足によって人が育たず、物流の仕組みが維持できないのではないかと不安になる日々が続いていました。この状況を解決する「共同配送」には以前から興味がありましたが、各社との調整役を誰が請け負うのかを考えると、実現には大きな課題があると考えていました。
共同配送実施後、現在感じていることは?
九州発の新しい試みを他のエリアにも広げたい
この九州で物流の新しい試みをスタートできたことがとても嬉しいです。今後はこの経験を生かして大分に限らず、もっと広げていただきたいと思っています。また、今回の施策を経験したことで、配送拠点における設備面の整備や運用面でのブラッシュアップを継続して行うことが必要だなと思っています。
共同配送でCO2削減にも成功、環境貢献も大きな収穫
共同配送のおかげで、お得意先さまへの納品回数を大幅に削減することができました。これにより、トラック輸送によるCO2排出量が年間で170トン削減でき、環境問題にも対しても大きな効果が得られました。また、今回の取り組みで、同業でありながら他メーカーさまと悩みや苦労を共有し、関係性ができたことも大きな収穫です。
現場の運用変更も成功要因のひとつ
共同配送をスタートするにあたり、一部現場の運用を変更しました。これまでパンを入れる番重(ばんじゅう=プラスチック製の薄型コンテナ)に店舗名と店番をチョークで記入する運用をしていましたが、共同配送のためにすべてシールに変更して現場の対応も変えました。こうした運用の変更も実現の大きな要因だったと思います。