長距離ドライバーの長時間労働の改善につながる「スワップボディ車」の活用

2024.05.23
ポストする シェアする

「スワップボディ車」と聞いてご存じない方も多いのではないでしょうか。これはコンテナ車の一種で、車体(運転席やエンジン、シャーシを含む)と荷台(コンテナ)が簡単に分離できる特殊なトラックのことです。車体が荷台をけん引するトレーラーとは異なり、スワップボディ車では荷台をシャーシに載せる仕組みになっているのが特徴です。そのため、スワップボディ車の荷台にはタイヤがありません。
そして、スワップボディ車が「物流2024年問題」において長距離ドライバーの長時間労働の改善につながると期待されています。例えば、東京~大阪間の長距離輸送では一泊二日かかっていたものが、日帰りで対応できます。なぜこれだけ劇的に短縮できるのでしょうか?それは次のような仕組みを構築しているからです。

例として、静岡県浜松市にある「コネクトエリア浜松」。2018年にNEXCO中日本と地元企業が連携して整備し、新東名高速道路の浜松サービスエリア(下り線)の隣接地に設置された中継輸送拠点です。総面積は約8,000m2で大型トラックが30台ほど駐車できるスペースがあります。東京~大阪間のほぼ中間地点(東京から約224km、大阪から約245km)に位置し、厚生労働省が定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(連続運転時間4時間)を考慮すると、中継拠点に適した場所です。

通常、東京から大阪へ輸送する場合、往復するためにドライバーは一泊二日の業務になり、長時間労働を強いられ業務負担になります。そこで、逆方向の大阪~東京間へ輸送するスワップボディ車と連携し、それぞれのスワップボディ車の荷台をこの中継拠点で入れ替えて輸送することで、荷台はそれぞれの目的地へ輸送され、ドライバーはそれぞれの出発地方面へ戻れるため日帰りで対応できます。これにより、ドライバーの長時間労働の改善が期待できます。
佐川急便ではスワップボディ車を約130台、スワップボディ車用のコンテナを約400台保有しており、佐川急便が契約するパートナー企業さまでは約80台のスワップボディ車を保有しています。

担当責任者の声

物流インフラの大動脈を担う長距離ドライバーの業務負担低減は重要な課題

スワップボディ車は幹線輸送にとって重要な役割を果たしています。幹線輸送とは、物流インフラの大動脈であり、沢山の荷物が集められた中継センターから配送先方面の中継センターへ効率良く荷物を運ぶことです。このため、大型トラックを使用して一度に多くの荷物を効率よく運ぶことが求められます。この幹線輸送を担う長距離ドライバーの疲労軽減を考えて、佐川急便ではスワップボディ車の導入を積極的に推進しています。
また、高齢化する長距離ドライバーの代替として、若い世代の力を借りる必要があると考えています。スワップボディ車を導入することで、日帰り運行が可能になります。自分の時間を有効に活用し、家族と一緒に過ごす時間も大切にしたいという世代にとっても負担にならないように、こうした改善策を模索し実行しています。

西井 茂:輸送ネットワーク部 輸送企画担当部長
※取材当時