「ラストワンマイル」を担うセールスドライバー®の業務負担低減

「物流2024年問題」へ挑む佐川急便の取り組み

2024.04.01
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「ラストワンマイル」。直訳すると「最後の1マイル」となりますが、物流業においては距離的な意味ではなく、お客さまへ届ける最後の区間のことを指します。佐川急便であれば、配達する営業所からお客さまのお手元までお届けする区間のことです。このラストワンマイルの配送業務をセールスドライバー®が担当しています。
セールスドライバー®は、朝出勤すると、自分の担当地域において効率よく配達するために、配送ルートを想定しながら、その日に配達するお荷物をトラックに積み込みます。
物流の2024年問題を迎え、セールスドライバー®の労働時間規制に対応するには、こうした一連の業務の効率化が必要でした。

佐川急便では、こうしたセールスドライバー®の業務をデジタル技術で支援しています。その上で重要なのが、お荷物に貼り付けられた手書き伝票のフルデジタル化であり、「AI-OCR(光学式文字読取装置)」と呼ぶ独自のシステムを導入しています。このAI-OCRを活用して高い精度で伝票に記載されたお届け先などの情報を読み取り、集荷したお荷物情報をデジタル情報としてシステムに反映しています。このデータを活用することで、セールスドライバー®の業務が飛躍的に改善されています。

  1. 届け先への配送を効率化<「スマート集配」>
    AI-OCRで読み込んだ貨物情報と配送地域の地図情報などをAIが解析し、セールスドライバー®のスマートフォン上に最も効率性の高い配送順やルートを表示させることができます。これによって、経験が浅い方や初めての方であっても効率よく配送することができるようになりました。
  2. セールスドライバー®の業務時間削減に貢献<「夜積みアプリ」>
    トラックの荷台をあらかじめ6区画に区切り、セールスドライバー®が届け先に応じて荷台のどの区画に積み込むかをあらかじめ専用端末に導入した「夜積みアプリ」に登録。夜勤の担当者がこの端末で翌日配送するお荷物の住所を読み込むと、トラック運転手が登録した荷台の区画が表示され、その指示通りにお荷物を積み込みます。これによって、セールスドライバー®は朝出勤後の積込作業の時間を削減することができました。

担当責任者の声

セールスドライバー®の業務負担をいかに低減するかを考えたときに、すこしでも出勤時間を遅く、退勤時間を早くできるようにしなくてはいけないと考えてきました。現場では、経験やノウハウに裏打ちされた「感覚」に頼って業務を効率的にこなす熟練のセールスドライバー®も多数います。ただ、新人のドライバーの配属や、繁忙期に応援にきたセールスドライバー®にはさすがに同じことはできません。こうしたデジタル技術の導入は単に作業の効率化だけではなく、こうした熟練のセールスドライバー®たちが培ってきたノウハウも継承できないかと考えています。AIの導入もそのひとつの切り口かもしれません。SGホールディングスグループとも連携しながら将来の物流業のあるべき姿を模索し、これまでの以上の輸送品質を提供していけるように、現場を支えていきたいと思っています。

南部 一貴:IT企画部部長
※役職は取材当時

※「セールスドライバー®」はSGホールディングス株式会社の登録商標です。