長距離フェリーを活用したモーダルシフト

「物流2024年問題」へ挑む佐川急便の取り組み

2024.04.01
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かつてモーダルシフトは、1997年に先進国に対して温室効果ガスの削減目標を義務付けた京都議定書が採択された際、トラック輸送から鉄道や船舶に転換することでその有効な対応策として話題となりました。そして「物流2024年問題」では、トラックドライバーの年間時間外労働時間が制限されることから、ドライバーの長時間運転を抑制する有効な対応策として、再び注目されています。
2023年6月には、物流の革新に関する関係閣僚会議が取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」において船舶へのモーダルシフト推進が明記され、官民挙げてその利用促進に向けて動いています。

佐川急便では、トラックによる貨物輸送に加え、一度に多くのお荷物が輸送できる長距離フェリーを積極的に活用しています。この輸送では荷台を切り離せるトレーラーを使用し、荷台のみをフェリーに乗船させることでドライバーの乗船が不要となり、拘束時間が短縮されてドライバーの業務負担の低減につながります。また、トラックの走行距離が短縮できるのでトラックから排出されるCOの削減にも貢献します。関東から九州間のトラック長距離幹線輸送の一部をフェリーに代替したところ、1年間(2022年4月~2023年3月の1年間)でCO排出量は48%削減、ドライバーの運転時間は86%削減できました。

モーダルシフトの効果
(2022年4月~2023年3月)

削減量 削減割合
CO2排出削減量 5,098t-CO2 48%削減
ドライバー運転時間省力化 143.701時間 86%削減

担当責任者の声

佐川急便で長距離フェリーを使う輸送は、約20年前に敦賀と小樽を結ぶフェリーの活用を皮切りに取り組んでいます。当初は遠距離地域へいかに効率よく輸送するか課題だったことから長距離フェリーを使い始めたのですが、時代の流れとともにトラックからの排出ガス削減による環境対応や、トラックドライバーの運転時間の削減による2024年問題への対応などに有効な輸送手段となりました。これも佐川急便だけで実現できたわけではなく、発着時間の調整や運航ルート開拓、洋上スピードが速い高速艇の開発など、この業界に関わる人たちのおかげです。今後も、時代の要請に応じた最適な輸送システムの開発に取り組んでいきます。

西井 茂:輸送ネットワーク部 輸送企画担当部長
※役職は取材当時

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