高尾100年の森のウィンターライフ~目指せ、落ち葉マスター~

森のお便り

2021年 冬

【特別公開!~サルの赤ちゃん癒し動画~】


これは森に仕掛けたセンサーカメラで 1/4 正午頃に撮影された動画です。
手前にある2つのテーブルの間を軽やかに飛び交い、ニホンザルの赤ちゃんたちが遊んでいます。「僕の方が飛べるよ!ほら?みた?」と聞こえてきそうな一幕です。モフモフとした風貌と小さい体で一生懸命飛ぶ姿が、なんとも微笑ましいですね。


年の瀬がせまる高尾100年の森。冬木立へと装いを変えた森の広場では、露出した土から天に向かって霜柱がすっくと伸びています。一方、森の中には落ち葉が厚くふり積もり、霜柱もありません。寒さを和らげてくれる落ち葉は、冬越しをする生きものにとっては欠かせない防寒具です。

そんな落ち葉は、多彩な色や形で、さらには音を通して、私たち人間を楽しませてくれる存在でもあります。落ち葉との出会いを求めて、冬の森へ出発!

森の音図鑑~冬~

「ザック、ザック」。一歩また一歩と足を運ぶたびに、降りつもった落ち葉がたてる音が、耳に心地よく響きます。この時期、森で耳をすませば、こずえに残った葉が静かに落下して地面につもる「パサリ」という音、強い風にあおられた葉が「カサコソ」と地面を移動する音など、落ち葉が奏でるさまざまな音にあふれていることに気づきます。

藪の中から、「カサッ、バサッ」と豪快な音が聞こえてきました。キジバトやシロハラなどの鳥たちが、落ち葉を投げ飛ばす音です。ジャノヒゲやガマズミといった落ち葉の下にかくされた植物の果実や、落ち葉のあいだで冬越しをしている虫たちを探し求めて、次から次へと落ち葉をつまんでは投げ飛ばし、乾いた音を立てているのです。

コナラの森では1haあたり年間4~5トンもの落ち葉が積もりますが、やがては分解され、土へと還ります。冬の間も、落ち葉は生きものや風の影響で少しずつ壊れ、それにつれて音も小さくなってしまいます。寒さ厳しい時期ですが、落ち葉の音に耳を傾けながら、森を歩いてみませんか。

管理でよみがえる森の動植物たち

朝、冬の刈り払い跡地は一面が霜に覆われていました。午後になっても溶けきらず、霜が残っているほどの寒さです。昨春の刈り取り後に芽生えてきた植物たちは、こんな厳しい冬をどうやって越しているのでしょうか?

一部の草は冬になる前に地上の葉や茎を全て枯らし、春になったらタネや地下茎から新しく芽を出すことで、冬の寒さを回避します。一方、冬の間も葉をつけ、寒さを耐え忍ぶ種類もいます。たとえば写真のヒメムカシヨモギやマルバコンロンソウ、ヒメジョオンなどは、地面にはりついて放射状に葉を広げています。こうした葉のつけ方はロゼットと呼ばれ、植物の寒さ対策の一つです。背丈を低くすれば寒風にさらされにくくなり、地面にぴたりとくっつけば太陽光で暖められた地面の熱を利用することもできます。ロゼットで寒さを耐えぬくことができれば、翌春にはタネから芽生える植物に先駆けて、素早く成長することができます。

来春の刈り払い跡地では、ロゼットで冬越しした草たちがいち早く葉を開き、花を咲かせて、森に彩りを添えてくれるでしょう。春の楽しみが、また一つ増えました。

森の落とし物~さまざまな落ち葉~

ウッドデッキ広場のベンチのまわりに、大きな葉が落ちていました。ホオノキの落ち葉です。その横にある赤黒い落ち葉にはフサフサの毛が生えています。こちらはオニグルミの葉です。落ち葉と一口に言ってきましたが、改めてみると、おおきな違いがあることに気がつきました。せっかくなので、広場周辺の落ち葉を集めてみましょう。

拾った落ち葉を並べてみたところ、サイズも形も色もバラエティーに富んでいます。ケースに入ったiPhone(長辺で約15㎝)と比べると、iPhoneより大きいのはホオノキとアカメガシワくらいでしょうか。アケビの葉にいたっては、ホームボタンをひと回り大きくしたくらいの小ささです。色彩もまた、ゆたかです。「落ち葉=茶色」のイメージがありますが、黒っぽい茶色から黄色や赤みを帯びた茶色、さらには黄色や緑色まで、さまざまです。葉の形も、深い切れ込みがあるカエデやモミジ、葉の縁にノコギリのようなギザギザがあるクリやコナラ、さらには虫食いで穴だらけの葉など、それぞれ違って味がありますね。落ち葉の多様性は、森の豊かさのバロメーターと言っても過言ではありません。

「ただの落ち葉」とぞんざいに扱わず、落ち葉の個性を見つめてみると、森の新しい魅力発見につながるかもしれませんね。