トップメッセージ

物流による社会インフラの構築

当社は、創業以来60年以上に渡り、トラック車両を主軸に物流事業を展開し、社会インフラの構築に力を注いでまいりました。
2000 年以降、インターネットの普及に伴うEC※1化が加速したことにより、個人宅への宅配ニーズが急速に高まり、さらには、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、経済や生活の構造が大きく変化する中、これまで以上に宅配ニーズは高まっています。
経済活動の一端を担う企業として、お預かりしたお荷物を円滑かつ安定的に配送する使命があります。その土台となるインフラの整備には、今後の物量増加を想定した効率性の観点に加え、レジリエンス※2とリスクの観点も踏まえた持続性のあるサプライチェーンを構築してまいります。

  • ※1
    EC:Electronic Commerce。対面取引ではなくインターネット等を通じて行う電子商取引。
  • ※2
    レジリエンス:resillience。うまく適応する能力。復元力、回復力。

環境配慮型の物流構築(これまでの環境取り組み1)

当社は、輸配送に伴う温室効果ガスの排出量を低減させるために、幹線輸送についてはモーダルシフトを推進し、ラストワンマイル配送については環境負荷の低い天然ガス車両やハイブリッド車両等の積極的な導入、サービスセンター等の小規模拠点からの車両を使用しない配送等を行っています。 また、先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL®」では、納品および出荷に必要な車両の最適化を行う等、お客さまの物流を効率化することで、環境価値と経済価値を両立させたビジネス提案を行っています。

環境保全「高尾100年の森」(これまでの環境取り組み2)

当社は、社有林「高尾100年の森」を所有しており、多くの方々の協力を得ながら、事業活動で排出される温室効果ガスの吸収源となる森林の保全に取り組んでいます。森は放置すれば荒廃しますが、適度な間伐や下草刈りを行うことで、より多くの光が差し込み、木々の温室効果ガスの吸収が促されます。同時に、多くの生き物や植物が育つ土壌を築くことで生物多様性の保全にもつながります。これからも、森林の保全活動を継続してまいります。
また、「高尾100年の森」は次世代を担う子どもたちへの環境教育の場として、さまざまな方にご利用いただいています。森林の保全とあわせて、環境問題への関心が高く、持続可能な社会づくりに貢献できる人材の育成につなげてまいります。

サステナビリティ経営

日本政府が2030 年に2013 年比で温室効果ガスを46%削減することをコミットし、世界的に脱炭素、SDGs に対する機運が一段と高まっています。これらの社会情勢を踏まえ、当社としても、これまでのCSR の考え方を再定義し、より⻑期的な目線で、環境、社会、経済の3つの観点から持続可能な社会となるようにビジネスを展開してまいります。その中でも、地球温暖化の主要因とされている温室効果ガスの排出については、トラック車両を多く走行させる当社にとっては特に向き合わなければならない重要かつ緊急性の高いテーマになります。 当社が排出する温室効果ガスの約7 割は車両由来となっていますので、今後普及が期待されるEV車両やFCV 車両の導入、バイオ燃料の活用等により、車両走行時の低炭素化を図ることが当面の課題と認識しています。また、併せて、車両の動力源における上流工程も含めた低炭素化を図る必要があります。車両のEV 化・FCV 化については、充電のオペレーション等にまだ多くの課題がありますが、関係各社と連携し、着々と導入に向けた準備を進めてまいります。

最後に、当社の事業を支えているすべての従業員が、その業務を通して、社会に貢献していると心から感じられるような事業運営を行うことが重要であります。我々の業務の大部分は人で成り立っています。従業員が安心して、⻑く働き続けられる環境づくりこそが、サステナブル経営であり、従業員を始めとするさまざまなステークホルダーとの関係性を強め、⻑期的に良好な関係を構築していくことがその本質であります。私たちの事業が社会と一体となり、社会全体が抱えている課題に向き合い、持続可能な未来の実現を目指して、ステークホルダーの皆さまと共に進んでまいります。

佐川急便株式会社
代表取締役社長 本村 正秀

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