生き物の不思議を見つけに夏の森へ
2016年 夏
 
        
          待ちにまった夏休みがやってきました!めぐみの雨を受けてすくすく育った草木が、深い緑の森をつくり出しています。
          一見、あまり生き物がいないように見える夏の森ですが、少し視点を変えてみれば、生き物たちのヒミツの暮らしを発見することができるかも。
        
心地よい風が吹きぬける夏の森へ、足を運んでみませんか。
沢(さわ)はすずしいね。どんな生き物が見つかるかな?
 
          すずしい沢での水遊びは、暑い夏の日ならではの楽しみです。森を流れる沢にはどんな生き物がいるか、沢をのぞいてみましょう。
            黒いハネをひらひらさせながら舞うハグロトンボは、沢の見張り役。
            近づくとすぐに飛んでしまいますが、ゆっくりと近づけばにげません。木もれ日を受けてきらきらと緑色に光る細い体が美しいトンボです。
          
            少し大きめの沢の石をひっくり返してみると、下からサワガニが走り出てきました。どうやら昼間は天敵に見つからないようにかくれているようです。
            サワガニは汚れた水に弱いので、このカニがいることは沢の水がきれいな証拠(しょうこ)です。ただし、森には動物も暮らしていますので、沢の水は飲まないようにしてくださいね。
          
クワガタが食べられちゃった!犯人はだれ?
 
          
            森のなかで、お腹の部分を食べられたミヤマクワガタを発見。1時間前にはなかったので、食べられてからあまり時間が経っていないようです。
            かたくて力持ちのミヤマクワガタをおそったのはだれでしょうか?
          
            この森にはいろいろなほ乳類が住んでいます。ひょっとしたら虫を食べるタヌキやテンが犯人?それにしては残ったクワガタの体はキレイで歯形がありません。では、肉食のフクロウ?でも、夜に活動するフクロウが昼間にクワガタを食べているのも変です。
            そういえば、森にはハシブトガラスも暮らしています。カラスはカブトムシをおそって器用にお腹の部分だけを食べるので、ミヤマクワガタをおそった犯人はハシブトガラスかもしれません。
          
生きたクワガタやカブトムシを採りたいわたしたちにとっては、森の動物たちは強力なライバルですね。
チョウが飛んできて服にとまったよ。なにをしているのかな?
 
          
            森のなかで一休みしていると、ハネのうらがまっ白なウラギンシジミが飛んできました。
            Tシャツの上にとまったり、リュックサックの上をうろうろと歩いたり、何をしているのでしょうか?
          
            よく見てみると、しきりと長い口をのばしては、Tシャツやリュックサックの表面を探っています。どうやらしみこんだ汗(あせ)を吸っているようです。
            「え~、きたない!」と思うかもしれませんが、汗の中には花のみつにはないミネラルなどの栄養が入っています。チョウはこれを目当てに汗を吸いに来るようです。他にも、ルリタテハやスミナガシのように、雑木林で樹液に集まるチョウは汗にも集まってきます。
          
森歩きにつかれたときは、お休みしながらどんなチョウが飛んでくるか、観察してみるのも面白いですね。
環境まめ知識 キノコと森のつながり
 
          
            森の中で真っ赤な色をしたタマゴタケを見つけました。あやしい色ですが、毒はありません。
            このキノコは体の一部を長く糸状にのばして、土の中の栄養や水を集めて植物に渡します。植物は光合成でつくったエネルギーをタマゴタケに返してくれます。
            タマゴタケは植物と助け合いながら生きているキノコなのです。
          
 
          
            枯木(かれき)から生えているカワラタケは森のリサイクル屋。木がつくる成分は、そのままでは他の植物が使うことができません。
            キノコはその木の成分を、ほかの植物が利用できる状態にもどすことができます。森の落葉や枯木がいつの間にかなくなるのは、キノコたちがせっせと働いてくれているからなのです。
          
キノコがいることで、いろいろな生き物が住む森のバランスがとれているのですね。