2022.03.29
  • 事例

内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」主要課題
「スマート物流サービス」の共同研究を実施

佐川急便株式会社、Kyoto Robotics株式会社、学校法人早稲田大学、フューチャーアーキテクト株式会社は、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」における主要課題の一つである「スマート物流サービス」の「荷物データを自動収集できる自動荷降ろし技術」に関する研究開発を受託し、2019年12月より共同研究を実施しています。
ECの浸透により、多頻度・小ロット化が進み、宅配の荷物が増加しています。また、物流現場での将来的な働き手の不足も懸念されており、最新技術を活用した課題解決の必要性が高まっています。

SIP 戦略的イノベーション創造プログラム

『スマート物流サービス』の要、「荷物データを自動収集し、自動荷降ろしを可能にする技術」

※2019年12月より共同研究を実施

各ロゴ画像

今回の研究では、荷物の基礎情報(サイズ・重量・外装・荷札情報等)、荷降ろし場所や荷降ろし時間といった情報を自動取得するとともに、荷降ろし作業を自動化する技術の確立と社会実装を目指します。本研究で自動収集される情報は「スマート物流サービス」で構築する物流データベースの基礎情報となるものです。本研究はコンテナに積み込まれた荷物の荷降ろし工程を対象に行いますが、ここで創出される技術は海上コンテナや荷積み工程にも転用可能であり、本研究成果を物流業界に広く還元することで、複数の事業者での商流・物流データの共有・活用によるサプライチェーン全体の効率性・生産性の向上の実現に大きく貢献することが期待されます。

SIPスマート物流サービス
取り組む課題

サプライチェーン全体の
効率性・生産性

現在製品化されているロボットによる自動荷降ろしシステムは、下記3つの課題を解決できておらず、普及にいたっていません。

課題1 課題1

事前登録されたサイズの
荷物しか取り扱うことが
できない。

課題2 課題2

事前登録された
積み付け方以外取り扱いが
できない。

課題3 課題3

パレットやカゴ車、コンテナへの
直積みなどさまざまな積み付け形態に
対応できない。

解決手法

荷物のリアルタイムセンシング、デバンニングロボットによる自動積み降ろし

センシング技術で判別

認識精度98%(1,000個に20個エラー)→認識精度99.9%(1,000個に1個エラー)

ロボットでデバンニング

KYOTO ROBOTICS

現在の研究状況

上記の課題を解決すべく、2019年12月より、リアルタイムに荷物を認識するセンシング技術の研究を進めています。2020年3月10日時点で、パレットに無作為に積まれた段ボールの画像データ約2万枚に対して、認識成功率98%を達成しています。現在、デバンニングロボットへの適用を意図したさらなる改良を進めており、2022年2月現在、プロトタイプのデバンニングロボットの組み立てが完了し、鉄道コンテナを想定した積み付け荷物に対する検証を進めています。2022年5月より当社の施設に設置して実用化に向けた検証を行います。事前登録されていないさまざまなサイズ、模様の荷物が無作為に積まれたパレットからの自動荷降ろしシステムの開発を目指しています。

研究開発中のロボット

社会実装に向けて
「スマート物流の研究推進」
準備室を発足

早稲田大学総合研究機構システム競争力研究所(所長:藁谷友紀)は、経済活動・国民生活を支えるインフラとして不可欠な機能である物流につき、広く社会への啓蒙および学際としての専門的な研究を推進することを目的とし、システム競争力研究所内に学会設立を企図して「スマート物流の研究推進」準備室(研究所部会)を発足させます。また、「スマート物流サービス」が、物流システムのスマート化、緊急事態における物流の最適化を含む課題に応えるものであり、さらには働き方やそこで求められる働く力、あるいは高齢化社会に見られるような新しい社会のあり方に関わるものであることから、既存の学会とのコラボレーションも同様に重要であると考えています。その第一歩として「しごと能力研究学会」部会でのプロジェクト活動報告と意見交換を計画しており、研究活動のコラボレーションを進めてゆく予定であります。

サプライチェーン全体の生産性・効率性の向上に取り組む
内閣府プログラム 「SIPスマート物流サービス」を取りまとめる
田中従雅PD(プログラムディレクター)からのメッセージ

Eコマースの拡大やドライバー不足等から「物流クライシス」が叫ばれている今、製造・物流・販売等の事業者が連携して「物流・商流データ基盤」を構築し、モノの動きや商品情報を総合的に扱うことによって、サプライチェーン全体の生産性、効率性を向上することが期待されています。
「SIPスマート物流サービス」では、この期待に応えるべく取り組んでおり、今回、その一翼を担っていただくため、本プロジェクトを選定いたしました。

本研究の状況については各共同研究機関、および管理法人との協議の上、適宜適切に公開してまいります。

受託概要

研究テーマ:「荷物データを自動収集できる自動荷降ろし技術」の研究開発
研究期間:2019年12月2日~2023年3月31日

佐川急便株式会社

名称 佐川急便株式会社
主な事業内容 宅配便など各種輸送にかかわる事業
設立年月日 1965年11月24日
本店所在地 京都府京都市南区上鳥羽角田町68
代表者 代表取締役社長 本村 正秀

Kyoto Robotics株式会社

名称 Kyoto Robotics 株式会社
主な事業内容 目と脳を持った知能ピッキングロボットのソリューション提供
設立年月日 2000年12月20日
本店所在地 滋賀県草津市野路1-15-5
代表者 代表取締役社長 徐 剛

学校法人早稲田大学

名称 学校法人早稲田大学
主な事業内容 教育研究および人材の育成
設立年月日 1882年10月21日
本部所在地 東京都新宿区戸塚町1-104
代表者 総長 田中 愛治

フューチャーアーキテクト株式会社

名称 フューチャーアーキテクト株式会社
主な事業内容 ITを武器とした課題解決型のコンサルティングサービスの提供
設立年月日 2016年4月1日
本店所在地 東京都品川区大崎1-2-2
代表者 代表取締役社長 神宮 由紀
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