昆虫天国!真夏の高尾100年の森!

森のお便り

2018年 夏

高尾100年の森は精いっぱいに夏を生きるセミやカブトムシなどの昆虫がたくさん生息しています。そんな昆虫天国の高尾100年の森へ出かけてみませんか。

夏の昆虫「カブトムシ」編

コナラやクヌギの木からあま酸っぱいにおいがしてきたら、虫採りの大チャンス!それは幹から流れ出す樹液のにおいです。においにひかれて、カナブンやチョウ、運がよければカブトムシなどが樹液の周りに群がっているはずです。

コナラの森は、カブトムシの幼虫を探す時も絶好のポイントです。秋にたくさんの葉を落とすコナラの森は、くさった落ち葉などを食べる幼虫にとって、エサが豊富な場所なのです。

ただしコナラの森は放っておくと林内が暗くなり、次の世代のコナラが育つことができません。常緑樹や育ちすぎたコナラを切って森を明るくすることで、コナラの森は若返ることができます。カブトムシのためにも、森づくりが大切なのですね。

樹液に集まるカブトムシ
樹液を出すコナラ

夏の昆虫「セミ」編

夏、セミのオスたちの大合唱が森を包みます。木に止まったセミを見つけ観察してみると、鳴き声に合わせてお腹を上下しているのに気がつきました。なぜ鳴き声と同時にお腹が動くのでしょう?じつはセミは口から鳴き声を出しているわけではありません。セミはお腹の中が空になっていて、そこで筋肉をふるわせて出した音をひびかせて大きな音にしています。だから鳴く時にお腹が動くのです。

陽がかたむくと今度はセミの幼虫たちが主役です。数年にわたる長い地中生活を終えたセミの幼虫たちが、地面からはい出て木を登ります。葉のうらや幹を探すと、セミたちが羽化するしゅん間を観察することができるはず。羽化の観察の際にはライトを忘れずに持って行ってくださいね。

ヒグラシ
脱皮をするヒグラシ

管理でよみがえる森の動植物たち「ノウサギ」編

下草を切りはらった森に、コロコロとしたノウサギのフンが落ちていました。ウサギは草原で穴をほって暮らすイメージがありますが、日本のノウサギは草原や森がとなり合う場所に多く見られます。草原はエサとなる草が豊富ですが、敵から見つかりやすいので、身を隠せる林が近くにないと安心できないのかもしれません。草原や森をまとめて維持している高尾100年の森は、ノウサギにとって格好の住処になっているようです。

「うさぎ追いしかの山」と歌われるように、ノウサギは里山を代表する動物です。しかし、いま全国的に草原が少なくなり、ノウサギも数を減らしています。高尾100年の森では、ノウサギも住み続けられる森を目指して、これからも森や草原の管理を続けていきます。

ノウサギのフン
夜に森を移動するノウサギ

環境まめ知識 八王子の文化と森の生き物たち「とろろ」編

高尾名物と言えば「とろろそば」。とろろはヤマノイモやナガイモといった植物の地下にのびるイモをすりつぶしたもので、栄養がたっぷり。かつて高尾山の薬王院へお参りに行く人たちも茶店でとろろそばを食べ、精をつけたのかもしれません。

高尾100年の森には、野生のヤマノイモがあちこちに生えています。他の植物にからみつき、長細いハート型の葉をのばします。この時期のイモはまだ小さく、光合成でつくった栄養分を貯めるのは秋になってからのようです。また、葉の付け根に小さなジャガイモのような「むかご」をつけるのもヤマノイモの特ちょうです。むかごをご飯にたきこんだり、いって食べたりと、芋とは違う楽しみ方もできます。

高尾名物を支えるヤマノイモを探しに、皆さんも森に出かけてみませんか。

花を咲かせるヤマノイモ
むかごをつけるヤマノイモ