山笑う新緑の森で春を楽しもう

森のお便り

2018年 春

春の高尾100年の森は木々が花をさかせ、鳥たちがさえずり、みずみずしい生命にあふれています。新緑につつまれた森の様子を「山笑う」といいますが、森の生き物たちも春の訪れを喜んでいるようです。
さあ、みなさんも高尾の森に出かけましょう。

森で見られた動植物

「ピリリ、ピッピリリ」と森のおくから聞こえてくる声のほうに目を向けると、きれいな鳥の姿が目に飛びこんできました!
日本では春から夏ころにしか見られない「キビタキ」です。

オスのキビタキは、黒と白の体に黄色のアクセントがあざやかで、国内で最も美しい鳥の一つに数えられています。メスへアピールするために派手な体を持っているといわれていますが、目立つ色や形をした鳥は敵に狙われやすいと言われています。

スズメ目ヒタキ科に分類される鳥類の一種で、スズメよりも少し小さい鳥です。冬の間、東南アジア方面の暖かい地域で暮らしていたキビタキは、春のこの時期になると日本にわたってきて子育てをします。

今回見つけたオスのキビタキは、メスの関心を引くために高い声でさえずりを歌い上げていました。「高尾100年の森」にも恋の季節が訪れたようです。

管理でよみがえる森の動植物たち「その1 チョウ」

(1)ウスバシロチョウ
(2)コジャノメ
(3)クロヒカゲ
(4)クロアゲハ
(5)ジャコウアゲハ
(6)ツマキチョウ
(7)コミスジ
(8)アオバセセリ

春本番の高尾の森では、色とりどりのチョウが飛びまわっています。半日歩いただけでも、なんと8種類のチョウが見つかりました。
そのなかに『森林整備がおこなわれた明るい森を好む』チョウを発見!((1)ウスバシロチョウ・(2)コジャノメ)。
このチョウは、明るく開けた森に生える植物を好んで卵を産みつけます。多様なチョウが確認できるということは、この里山に多様な環境が残されていることの証なのです。

環境まめ知識 八王子の文化と森の生き物たち「絹と桑(クワ)」編

この時期の森を歩くと、色づき始めたヤマグワの実がよく目立ちます。
これとそっくりなマグワはハーブのマルベリーとして有名ですが、この森が位置する八王子と関わりの深い植物でもあります。

八王子はかつて「桑都(そうと)」と呼ばれた織物や生糸づくりの盛んな土地で、カイコのエサとなる桑の畑が一面に広がっていました。
桑都の名残りは今も数多く目にすることができます。市南部の鑓水(やりみず)には生糸や絹を横浜まで運んだ「絹の道」が保存され、生糸や織物を運んでいた鉄道は現在のJR横浜線・八高線としていまも働いています。
また中央高速の八王子インターに近い大善寺には、養蚕と織物の神をまつる機守(はたもり)神社が今も残されています。

森で見る桑の実は、かつての桑都の姿を思い起こさせてくれます。